ゲーテ「ファウスト」のあらすじを3分に要約!押さえたいポイントはココ

ゲーテ「ファウスト」のあらすじ
おらひ
おらひ

ドイツの古典文学大好きなボクがお送りするゲーテの「ファウスト」。意外と読みやすいですよ。

Johann Wolfgang von Goethe(ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ)はドイツを代表する文豪。

その著書である小説「若きウェルテルの悩み」「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」、叙事詩「ヘルマンとドロテーア」など今でも読み継がれる作品を多く残しています。

今日はその中でも特に有名な大作「Faust」ファウスト」をわかりやすくご紹介しますね。

スポンサーリンク

「ファウスト」著者ゲーテってどんな人?

ゲーテ
出典:wikipedia

まず最初にファウストを描いた「ゲーテ」をサクっと説明します。

彼は多彩な才能に恵まれた男でした。肩書だけで詩人、劇作家、小説家、自然科学者(色彩論、形態学、生物学、地質学、自然哲学、汎神論)、政治家、法律家と、これだけあります。

そして最も有名なのが彼は生涯を通じて恋多き男だったということ。
14歳で年上恋をして、失恋。その後も幾度となく恋に悩み苦しみ、その情熱が後世に残る彼の作品の原動力となっていると言われています。

事実、彼の作品の多くに精密な恋愛シーンが多く登場します。
そんな彼は80歳の時でも少女に恋をしたという逸話が残っています。

「ファウスト」が作られた背景とは

ファウストが作られた背景とは
出典:digbib.org

ファウストはゲーテの代表作の一つです。
しかしゲーテの「ファウスト」は、完全なオリジナル作品ではありません。

モデルになった「ファウスト伝説」とは

世界には、以前からファウスト伝説という童話的な物語が語り継がれていました。

この童話は、ルネサンスと宗教改革の時代に属する16世紀後半のドイツに、この人物は実在すると言われる錬金術師ドクトル・ファウストゥスをモデルに生まれたとされています。

1587年にドイツ・フランクフルトの印刷業者シュピースによって「ドクトル・ヨーハン・ファウストの物語」という本が出版されると、多くの読者を得て、近隣の諸外国でも翻訳紹介されるに至りました。これがゲーテの描く「ファウスト」の下敷きになったとされています。

「ドクトル・ヨーハン・ファウストの物語」(ファウスト伝説)のあらすじ

百姓の子に生まれ、知識欲に燃えた彼は神学を学んだ後、魔術にも手を出し、医学・天文数理などでも学を修めました。
それでもなお彼は知識欲に飢え、ついに悪魔を呼び出すことに成功します。そこで、「24年間は悪魔の援助を受けて、地上のあらゆる知識を快楽を得る代わりに、キリストの敵として行動し、約束の期限が来たら魂と肉体を悪魔の自由に任せる」と悪魔(メフォストーフィレス)と約束します。

結果、彼は宇宙・地獄なども訪問することになります。
魔法で人々に悪事を働くこともあり、時すらも超越します。しかし、24年の歳月の後、彼の魂は地獄に落ち、永劫の罰を受けるという内容で民衆本は終わります。これはのちに人形劇などでも演じられるようになります。

ゲーテは幼少時代からファウスト伝説に興味があった

ゲーテは、この民衆本でもファウスト伝説を、人形劇や本そのものを通して、幼少時代から知っていました。そして、彼は1770年から1771年にかけて、自分でもファウストを作ってみようと思いたちます。

ゲーテ24歳にファウストの執筆スタート

そして1773年から1775年にかけて最初の制作をします。
ゲーテが24歳の時です。

ここでは、当時彼が恋をしていた背景が色濃く反映しており、ファウストの中の恋愛の部分が多く作られていました。

後、さらに改稿を加え、1790年に「ファウスト断片」として発表します。

ファウスト第一部完成は製作から35年後

友人シラーとゲーテの象
出典:wikipedia 「友人シラーとゲーテの象」

それ以後執筆が停滞してしまったこともありましたが、友人シラー(ゲーテと並んで天才文豪と称される。個人的にも、世界的に見て後世に多大な影響をもたらした文学者・思想家が同時期に、通信を取り合い、仲を深くまで進展させたというのはまさに時代の奇跡であったと感じる。)との交通の後、1808年に「ファウスト 悲劇 第一部」を発表します。

また、第二部も1797年には考えられており、1800年ごろには、最初の部分が完成していました。

しかし、また執筆が停滞し、一時は完成を中断し、計画の筋道だけでもと「ファウスト 腹案」を書きました。(この腹案は1826年に、新しく2つ作られたが、これはついに発表されなかった。)1831年7月22日には第二部の草稿が完成。

封印されて机上に置かれており、本人が世に出すことなく、1832年3月22日ゲーテは心筋梗塞で82歳の時にその生涯の幕を閉じ、同年の内に「ファウスト 悲劇 第二部」が発表されました。

ファウストはゲーテが生涯をかけた大作である

ゲーテの「ファウスト」は想起以来60年をかけて完成(ゲーテは、最後の草稿にも手を加えようとしていたようである)しました。

まさに、彼の生涯を横断して完成した作品なのです。

3分でわかる!ゲーテの「ファウスト」のあらすじ

ゲーテの「ファウスト」は2部作です。
1部と2部に分けて内容をご紹介します。

ゲーテの「ファウスト」は小説ではありません。詩劇です。
まるでドラマの台本のように登場人物の名前の表記の後、台詞が書かれているという形で、風景描写が行動描写がほぼありません。
そのためオペラやミュージカルで描かれることが多いです。

 

ゲーテの「ファウスト」第一部の完成に光を生じさせたシラー。二人の銅像。

フリードリヒ・フォン・シラー – Wikipedia

ファウスト第一部のあらすじ

ゲーテのファウストは、世界の知識を全て知ったところで結局はどうにもならないという喪失感や絶望感に満ちています。

そんな中、悪魔のメフィストーフェレスが現れ、「ファウストを満足させることが出来たら、魂をもらう」という約束をします。(これは、事前にメフィストーフェレスが主(神)とのやり取りで決めていたことだった。)

ファウストはその話に乗り、彼の魔術を使い、若返ることになるなど、色々なを経験をします。

そしてある時、ファウストはグレートヒェンという女性に一目惚れし、悪魔メフィストーフェレスの力もあり、二人は結ばれます。

しかし、グレートヒェンには看護がいる母がいて、二人はなかなか会える時間がありませんでした。

そこで、二人はグレートヒェンの母親に睡眠薬を飲ませ、眠っている間に会うことにします。

しかし、睡眠薬の量を誤り、母は死んでしまいます。さらに、グレートヒェンはファウストの子を宿し、貧困から子供を殺してしまいます。(嬰児殺しというもので、当時ドイツで蔓延して行われていた。もちろん、重い罪に問われる。)

グレートヒェンは投獄されますが、ファウストは悪魔メフィストーフェレスの力を借り、牢獄に侵入します。

しかし、グレートヒェンはもはや正気を保っておらず、ファウストの逃げだそうという提案を受け入れませんでした。ここで、見張りの者がやってくるタイミングもあり、きちんとした別れもなく、ファウストと悪魔メフィストーフェレスは牢獄から姿を消します。

ここで第一部は終結。
恋愛悲劇という点で、当時のゲーテの心境を大きく反映していると言われています。

ファウスト第2部のあらすじ

ファウストと悪魔の像
ファウストと悪魔メフィストーフェレスの像

第二部では舞台は一変、王宮になります。

ファウストと悪魔メフィストーフェレスは皇帝に仕え、その国大きな富をもたらします。
さらに、絶世の美女を追い求め、ファウストは無限の創造を行う、未生以前の者たちの住む境界に赴き、ヘレネー(ギリシャ神話の美女)と出会います。

しかし、ファウスト自身が彼女に恋をしてしまった結果、意識をなくしてしまいます。
これを治すには、ギリシャ神話の世界に行くしかなく、ファウストと悪魔メフィストーフェレス(ファウストの弟子が作ったちゃんとした肉体を持たず魂しか持っていない錬金術的人造人間であるホムンクルスも同行)は、ギリシャ神話の世界(作中では具体的に神話の世界とは述べられず、ギリシアに向かった旨しか述べられない)でヘレネーを追い求めます。

後、ファウストはヘレネーに再会し、男の子を1人もうけます(ヘレネーと子供を一人もうけるという点だけはオリジナル本でもファウストも同じ)男の子は死に、夢のような世界は全て消えてしまいます。

終盤では、舞台は現実世界のドイツに移り、先述の皇帝をクーデータの戦いに勝たせ、その報酬として海の土地をもらいます。

この土地を埋め立て、堤防を作り、「海」という偉大な力には向かおうとファウストと試みます。
物事は順調に進みますが、近くの土地から立ち退かない家とそこに住む老夫婦、たまたま居合わせた旅人を誤って殺してしまいます。(ファウストは立ち退きを命令し、悪魔メフィストーフェレスが殺害を実行。しかし、事故の面が強い。)

その家から出てきた「憂い」(きちんとした台詞も持つ登場人物。灰色の女の姿として登場する。)はファウストの目を見えなくします。

そして、その老人たちの墓を悪魔メフィストーフェレス達が掘っている最中、ファウストはそれを農夫たちが懸命に土地を耕している音だと勘違いし、悪魔メフィストーフェレスにその旨を伝えます。
さらに沼のはけ口を作り、埋立地を完全に安全地とした後、人々を呼び楽園として住まわせることを述べます。

海の脅威もない安全な土地。ファウストは「日々に自由と生活とを闘い取らねばならぬ者こそ、自由と生活を享くるに値する」という叡智の最高の結論を得ます。

その拓かれた土地で勤勉な民が住む。自由な土地の上に自由な民と共に生きる。その光景を夢半ばに思いつつ、満足を感じ、悪魔メフィストーフェレスとの約束のもと、死に至ります。

ファウストはたゆまぬ努力と熱意が見いだされ、彼の魂は悪魔メフィストーフェレスの手を逃れ、天高く上り、グレートヒェンと結ばれることとなります。

こうして物語は幕を閉じるのです。

ゲーテの「ファウスト」の魅力とは?

ファウストの魅力とは
出典:Wikipedia

その哲学的内容もさることながら、詩劇として楽しむこともできる点です。

登場人物の登場時には、(ファウスト、登場)といったような記述しかありません。退場の時は、(ファウスト、退場)というような形です。

劇の台本のような内容になっています。これは、ゲーテには小説家としての側面より、詩人としての側面が強かったことに関係しています。そこを楽しむことができるのは一つの魅力だと言えます。

ゲーテ「ファウスト」を楽しむコツ

ファウストの楽しみ方
詩の独特のリズム、キャラクターの生き生きとした台詞などは、高橋義孝氏の訳本がおすすめです。

恐らく一般的に流通しているものはこの本だと思います。
また、ファウスト第二部は通してギリシャ神話が描かれます。

ギリシャ神話に対する知識がないと内容が理解できないのですが、高橋義孝氏の本ならば注釈が詳しく、かつ良質に示してあり、読み込むことが出来ます。

オーケストラやオペラではゲーテの「ファウスト」は数多くの交響曲としてもオマージュされています。

ゲーテの他の代表作としては、デビュー作となる「若きウェルテルの悩み」がありますが、これもある人がある人に向けた日記という形式で、普通の小説体型とは違った面白みがあります。
若きウェルテルの悩み

また、それを付け焼き刃な発想だけで行うのではなく、文豪たる彼の手腕と詞人としての一線を画す能力とにより、唯一にして最上のものとなっています。

ゲーテは、もはやオリジナル版とは全く違う内容となったこのファウストの草稿に、まだ手を加えようとしていましたが、死去により叶わぬ夢となっています。その背景にロマンを感じるのもありだと思います。

文豪ゲーテが生涯を通し、その思想を傾けつくした大作「ファウスト」。
台詞が主体なので、読むのもそこまで難しくないので、構える必要もありません。

一読の価値はあると思います。

 

 

 

The following two tabs change content below.
おらひ

おらひ

洋楽&文学好きな19歳。ドイツ文学が特に好き。洋楽はメインストリームからインディーズまで幅広く、ラウド系からポップ、パンク、実験音楽、サイケなど音楽ならジャンルフリーで好き。あとは漫画もそこそこです。⇒Twitterはこちら
タイトルとURLをコピーしました